じゃじゃ馬グルーミン☆UP!のSSおきば。
思い返すようなほど時は過ぎて
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―――もう、思い返すようなくらい、時間が経っちゃったんだね。
昔、あんたに言った台詞、あたしはまだ覚えてる。
『「半人前だって判ってるんなら―――」』
そう、あれは台風が来てた日だった。細かい日時までなんて、覚えちゃいないけどさ。
でもあたしは忘れられないの。
『「いっしょに一人前を目指せばいいでないの。」』
何でかなんて、説明なんかしたくもない。理由なんて、そんなの、決まってるっしょ?
『「甘えてるんでないよ、ばか。」』
……思い出そうとしなくたって、鮮明に浮かぶ情景。
『「おかえり。―――よく帰ってきたね。」』
だってあの日に…あたし達……。
―――初めて、本当にお互いを判りあえた気がしたんだもの。
「『ひびきさん』」
……でも、あんたはそれを覚えていてくれてるの?
あたしと同じように、思い出そうとしなくても、ちゃんと?
―――ねぇ、本当に今でもそう思ってくれていると信じていいべ?
あたしは、あんたにちゃんと想われているって……。
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